2010 年ウェーサクバンコク宣言

第7回国連ウェーサクの日に因む国際仏教徒会議

開催期間:2010年5月23~25日
会場:アユタヤ県ワンノーイ郡マハーチュラロンコーンラージャウィタヤライ大学本校キャンパス、バンコク都国連会議センター、ナコンパトム県プッタモントン

宣言
1999年12月15日に開催された第54回国連総会において、34カ国の代表から共同提議された第174議題として、5月の満月の日に当たるウェーサクの日を国際的に認知し、2000年以降国連本部および地域事務所においてこれを祝うという議題が採択された。これに基づき、国連ウェーサクの日がすべての仏教宗派によって合同で祝賀されることになった。

今般、すべての仏教宗派、機関、個人、その他の信仰団体、および市民団体の間で対話を継続することにより相互理解と協力を形成し、英知と慈悲に関する仏陀の教えに基づく平和への以下のメッセージを広めることを決定し、世界的回復を援助支援するために仏陀の教えを探求することになった。

2010年5月23日から25日までアユタヤ県ワンノーイ郡マハーチュラロンコーンラージャウィタヤライ大学本校キャンパス、バンコク都国連会議センター、およびナコンパトム県プッタモントンにおいて開催された国連ウェーサクの日に因む国際仏教徒会議に結集した我々世界83の国々と地域からの参加者は、同会議がタイ仏教サンガ最高評議会の指導の下、タイ王国政府が後援し、タイ国マハーチュラロンコーンラージャウィタヤライ大学と日本国インナートリップ霊友会インターナショナルによって主催されたことをよく認識した上で、以下のことを全会一致で決定した。


(1) 人が作り出した世界的な金融・経済危機があらゆる国とコミュニティに強烈なインパクトを与えたこと、および、いかに人間の精神状態が人間の行動に影響を及ぼすか、その人間の行動が今度は人間の環境に影響を及ぼすかということを改めて確認する。また、壊れ易い世界の回復を持続させる生物間の自然の法則を重視することによって、精神的な真空を埋める努力をすることを再確認する。


(2) 世界の回復に対する仏教徒の貢献の一部として、国際社会に対し、人間の尊厳、安全保障、社会的・経済的連帯を促進するために人道的教育の導入を奨励する一方、自ら招く世界的問題を最小限に止めるよう奨励する。また、世界の宗教指導者および政治指導者に対し、異文化間の不信や暴力事件を避けるために継続中の対話の強化を求める。


(3) すべての大規模な危機は小規模な危機として始まることに鑑み、その拡大を生み出す事件の因果連鎖を理解することができれば、拡大は不可避ではない。従って、調和の取れた共存を目指す非暴力的で寛容なコミュニケーション、参加、相互依存を通して、防止、解決、治癒に関する中庸を基本とする平和的な社会戦略を開発する。


(4) 道徳、瞑想、自己評価、自己認識、正当な見識を通して人類の精神面、情緒面の福祉を促進すると共に、心の利己的な状態に関する危険を社会に対し明確に示し、奉仕の利益をより広い社会に示す。


(5) 法の導きに従い、様々な分野において社会的な行動仏教を手段として使うことで、世界的な経済危機が個人やコミュニティに与える衝撃を緩和する。


(6) 仏教、エコロジー、自然に対する姿勢の間の相関関係に関する意識を広める。また、世界的な「エコ仏教」ネットワークを支持する。


(7) 2005年タイ国ナコンパトム県プッタモントンにおいて国際的に承認された世界仏教センターの開発の一環として、タイ国プラチンブリ県にある世界仏教公園財団世界仏教公園の設立を支持する。


(8) 大乗仏教、上座部仏教、金剛乗仏教の豊富な資源と現代社会のニーズを反映させた共通仏教教本を編集・配布することで、より広い社会に仏教の原則に関するより良い理解を引き続き広めていく。


(9) 現在、世界16カ国23の大学と図書館の一流の学者により進められている仏教教本統一カタログ(UCBT)のための電子プロジェクトに関し、2010年9月にマハーチュラロンコーンラージャウィタヤライ大学においてセミナーを開催することで支援を継続する。


(10) 2011年12月にマハーチュラロンコーンラージャウィタヤライ大学において仏教哲学と実践をテーマとする第2回国際仏教大学協会(IABU)会議を開催する。


(11) 2011年12月5日のプミボン・アドゥンヤデート国王陛下の記念すべき84歳の誕生日祝福を兼ねて、2011年国連ウェーサクの日に因む国際仏教徒会議をタイ国アユタヤ県ワンノーイ郡マハーチュラロンコーンラージャウィタヤライ大学本校キャンパス、バンコク都国連会議センター、およびナコンパトム県プッタモントンにおいて開催する。

2010年5月25日